良い香りがする杉という木材には不思議な力があります。
防腐作用や抗菌作用が強く、家屋はもちろん古くから食品を入れる容器や酒樽の素材に用いられています。
つまり、人にとって安心をもたらす作用をしてくれているわけです。
そのせいなのか、杉の香りを嗅ぐとホッとしますね。
科学的には「フィトンチッド」という成分が関係しているそうなのですが… 難しい話はまたいつか。
杉で作られたこのぐい呑みは手に持つと頼りないぐらい軽く、手の温度にすぐ馴染むやさしい質感に癒やされます。
しかし、薄く削り出されているにもかかわらず硬質な感覚は木目のつまった針葉樹ならではの「凛」としたものです。
唇の当たりはやさしく柔らかく、お酒もするりと流れ込んできます。
杉の香りは強く主張するタイプではなく、花春吟醸のほどよい香りを上手に引き立ててくれています。
味わいは独特で、ガラスや磁器とは全く違った円さを演出してくれています。
常温の純米酒や、冷やして美味しい生貯蔵酒などでも美味しくいただけると思います。